
ドイツ連邦の各地域図
ドイツ語(標準ドイツ語/高地ドイツ語:Deutsche Sprache、アレマン語:Deitsche Sproch、バイエルン語:Dåitsche Sproch、上部フランケン語:Daitsche Sproch、中部フランケン語:Dütsche Sprooch、低地ドイツ語:Düütschie Spraak、オランダ語:Duits Spreek、フリースラント語:Duuts Spreak)とは、中央ヨーロッパにあるドイツの言語である。
または「標準ドイツ語」、「高地ドイツ語」とも表記される。日本語は独語、中国語は徳語と表記される。
概要[]
もともとは、スカンジナヴィア半島からユトラント半島[1]にいたゲルマン系の一派の西ゲルマン語群[2]で、元来は「大衆の」[3]を意味する、Teutone(トイトーネ)→Teutsche(トイチェ)→Deutsche(ドイチェ)と変遷した[4]。
4世紀ごろ、トルコ系またはモンゴル系のフン族[5]の王であるアッツィラ[6]率いる遊牧民族が中央アジア西部から、東ヨーロッパに現れて、中央ヨーロッパにまで侵入して蹂躙したため、その影響で古代ゲルマン人は民族移動を開始した。
ライン川中・下流の北西部にはザクセン族・東フランク族、ライン川支流であるネッカー川流域の中南部にはフランケン族[7]、かつてエルベ川流域にいた北東部にはアレマン族[8]とザクセン族の一派、ドナウ川上・中流の南東部にはバイエルン族などの諸族に分かれていた。
そのため、地域ごとに言語の差があり、ラテン語の影響を受けながら、5世紀末~6世紀初の第二次子音推移を経た高地ドイツ語から中部ドイツ語(中央ドイツ語)と上部ドイツ語(南部ドイツ語)に分かれた。特に中部ドイツ語が標準ドイツ語のバイブルとなり、中世にマルツィン・ルター[9]によって確立され、その仕上げをヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ[10]やグリム兄弟らによる編纂で、現在に至る標準ドイツ語が出来上がったのである[11]。同時に中部ドイツ語は子音推移の破裂音の有声化が著しく強く、上部ドイツ語は子音推移の破裂音の無声化の傾向があり、南部ドイツ語特有の発音が滑らかな特徴を持っている。
一方、第二次子音推移を経てない、低地ドイツ語(北部ドイツ語)は系統言語であるオランダ語とともにフリースラント語にもっとも近く、かつては英語(アングロサクソン語[12])やスコットランド英語[13]とは近縁の言語だった。
同時にバルト系と混血した西スラヴ系のソルブ族とカシューブ族とプロイセン族もドイツ人と同化し、彼らが使用する言語も「ドイツ・スラヴ語」または「スラヴ・ドイツ語」とも呼ばれている。
ちなみに、ザクセン族と東フランク族(フランケン族)はソルブ族とカシューブ族とプロイセン族との混血が著しく、言語的に低地ドイツ語と中部ドイツ語が複雑に融合している民族であり、一方フランケン族とバイエルン族[14]とアレマン族は、ライン川上流にいた古ケルト系民族とラテン系ローマ人[15]などが相互に混血して形成され、上部ドイツ語に属する民族である。
ドイツ語の歴史の変遷[]
「ドイツ語」という言語は786年に、テオディスクス(theodiscus) というラテン語型で初めて文献に登場するが、これは「民衆の」という意味を表す古代ドイツ語の形容詞(diutisc)を語源としている。このテオディスクスはチュートン人またはトイトーネ人(Teutone)[16]のラテン語形ともされる。
時代順に高地ドイツ語は、
- 750年 - 1050年 : 古高ドイツ語
- 1050年 - 1350年 : 中高ドイツ語
- 1350年 - 1650年 : 前新高ドイツ語
- 1650年 - 現代 : 新高ドイツ語(現代高地ドイツ語)
とおよそ、四期の段階に分類されている。
これに対し、低地ドイツ語は
- 800年 - 1200年 : 古低ドイツ語
- 1200年 - 1650年 : 中低ドイツ語
- 1650年 - 現在 : 新低ドイツ語(現在低地ドイツ語)
とおよそ、三期の段階に分類されている。
地域ごとの各ドイツ諸語の特徴[]
- アレマン諸語の語尾に標準ドイツ語のような「en」ではなく「e」と表記する(ただし、上部フランケン語の語尾は「en」、バイエルン語の語尾は「e」を抜けて「n」と表記される)、またアレマン語のうち高地アレマン語[17]などは「~kon」(~コン)の語尾が非常に多い(特に地名が多い)
- 「Ö」=「OE」は口を「オ」の形にして、舌を上げる形(巻き舌)で「エ」[18]または「オェ」と発音する(前者は中部ドイツ語、後者は上部ドイツ語、低地ドイツ語はオランダ語同様に「ウー」と表記される。※どちらかというと仮名表記はむつかしい)
- 「Ü」=「UE」[19](母音+子音)は口を「ウィ」の形にして「ウュィ」または「オュィ」と発音する(低地ドイツ語・オランダ語では、口を「ウィ」の形にして「イュィ」または「エュィ」と発音する(※どちらかというと仮名表記はむつかしい。さらにドイツの各地域によっては「オィ」あるいは「アゥ」とも発音される場合もある)
- 「Ä」=「AE」は上記ほど仮名表記は困難ではなく日本語の発音の「エ」に近く、「E」よりも容易である。強いていえば、口を「ア」の形にして舌を引っ込めて、「エ」と明確にはっきりと発音する(「E」に関しては下記を参照)オランダ語では「アー」もしくは「エー」と発音される。
- 「Y」は「Ü」と同様に「ウィ」と発音するが、「Ü」のように口を「ユ」の形にする必要はない(日本語の「ユ」とほぼ同じで、本来はギリシア語経由の外来語)。また、低地ドイツ語および中部ドイツ語の一部では「イ」と表記する
- 「A」(ア)は上部ドイツ語のうち、アレマン語・上部フランケン語は「ア」、バイエルン語は「Å」=「å」となり、「オ」と表記される(「ア」は日本語の発音よりもはっきり言うこと)
- 「T」(ト)は上部ドイツ語のうち、アレマン語は「ツ」、中部ドイツ語および上部ドイツ語のうち、上部フランケン語・バイエルン語は「トゥ」、低地ドイツ語は「ト」と表記される
- 「D」(ド)の場合は、語頭は「ドゥ」となる。語中・語尾は「トゥ」と同様の発音となり(「dt」も該当)、アレマン語は「ツ」、低地ドイツ語は語頭は「ド」、語中・語尾は「ト」と表記される
- 「E」(母音+子音)では口を「イ」の形にして「エ」または「エーィ」と発音する(単音の「E」は「Ä」=「AE」と同様に日本語の「エ」と発音する)
- 「R」(母音+子音)では喉仏を「グ」と濁音して「ハ」と「ガ」の中間の発音をする(決して、日本語の「ラ行」で発音はされない。うがいする感覚で、いわゆる「喉弾き」で、上部ドイツ語の特徴である「歯弾き」(上歯と下歯を閉じて発音)あるいは「舌弾き」とは区別される)。さらに日本人の場合は「ル」+ア行(例:「ルァ」「ルィ」「ル」「ルェ」「ルォ」)と発音すると、より現地のドイツ語の発音に近くなる。
- かつて「R」は「舞台ドイツ語」では単音は「ル」と発音されていたことがあり、現在ドイツ語の単音では「ア」(「Ä」とほぼ類似している)と発音される(「L」は日本語の「ル」とほぼ同じで、(母音+子音)でも「ラ行」で通じる)
- 「V」は口を「イ」の形にして「フ」および「フィ」または「ヴ」および「ヴィ」と発音する(「F」は日本語の「フ」とほぼ同じ)
- 「W」は上歯で軽く下唇を「噛んで」「ヴ」と発音する(上部ドイツ語は滑らかに発音される、第二次子音推移を経ていない低地ドイツ語は「ウ」と発音される)
- 「Z」は上部ドイツ語は「ツ」、標準ドイツ語は「チュ」、低地ドイツ語はオランダ語同様に「ス」または「ズ」と表記される
- [au」は上部ドイツ語のうち「オゥ」(åu)はバイエルン語表記で、「ウー」はアレマン語表記で、「アー」は上部フランケン語表記である(低地ドイツ語は「アゥ」、標準ドイツ語は「アォゥ」と表記。またフラマン語では「オー」と発音される)
- ちなみに「Baumkuchen」は上部フランケン語では「バォゥムクーキェン」または「バォゥムクーケン」、アレマン語では「ブームクエーキェ」(Baumkuäche)、バイエルン語では「ボウムクーヒン」または「ボームクーヒン」(Båumkuchn)と表記される
- さらに、中部ドイツ語の中部フランケン語などでは「バォゥムクーヒェン」、低地ドイツ語では「バウムクーヘン」と表記される(オランダ語ではBoomkoken「ボームコーケン」またはBoomkauken「ボームカウケン」)と表記)
- スイスのフランス語圏の「Lausanne」(日本語発音はローザンヌだが、フランス語では正確に「ローザヌ」、元来はラテン語のロウソンナ(Lousonna)[20]およびロザーノ(Losanno)が転訛したもの)は英語では「ラーザン」あるいは、「ラオザン」で、ドイツ語では「Lausann」のスペルとなり、フランス語発音に添えつつ標準ドイツ語・中部フランケン語も含む中部ドイツ語・低地ドイツ語およびオランダ語では「ローザン」あるいは、「ロザン」と表記される
- さらに上部ドイツ語のうち上部フランケン語と、高地アレマン語に属するスイス語も含むアレマン語では「ローザン」(Losann)、バイエルン語では「ローゾン」(Losånn)と表記される(バイエルン語はフランス語発音と多少は関連があるようである)
- 「eu」(オィ)は「äu」「oi」「oy」とも表記され、上部ドイツ語のうち、上部フランケン語およびアレマン語表記は「オー」、バイエルン語表記は「アィ」である(低地ドイツ語表記は「エー」、オランダ語表記は「ウー」)
- 「ei」(アィ)は「ey」「ai」「ay」「äi」「äy」とも表記され、上部ドイツ語のうち「オィ」はアレマン語系のシュヴァーベン語(最低地アレマン語)および上部フランケン語表記で、「イー」ははアレマン語系の高地アレマン語に属するスイス・ドイツ語表記で、「エー」はバイエルン語表記である(「åi」「åy」は「オィ」となる)
- 南ドイツの地域によっては第二次子音推移を経ていない言語も存在する(アレマン語系高地アレマン語に属するスイス・ドイツ語表記の「イー」がその典型的な例)
- ちなみに上部ドイツ語では、「ai」「ay」の表記が非常に多い(標準ドイツ語は「アィ」で、オランダ語での「アィ」は「ij」および「ÿ」と表記される)
- 標準ドイツ語の「berg」(ベアク[21])は、アレマン語では「bärg」「bearg」(ベアーク)と表記される(オランダ語は「ベウフ」「バーフ」と表記される)
- 標準ドイツ語の「burg」(ブーク)[22]は、低地ドイツ語では「boig」(ボイヒ)「boch」(ボーホ)と表記される(オランダ語は「borg」「borch」(ボウヒ、ボーヒ)と表記される)
- 「ar」は、舞台ドイツ語では「アル」と発音されるが、現代ドイツ語では「アー」と発音される。
- 「ir」は、舞台ドイツ語では「イル」と発音されるが、現代ドイツ語では「イア」と発音される。
- 「ur」は、舞台ドイツ語では「ウル」と発音されるが、現代ドイツ語では「ウー」と発音される。
- 「er」は、舞台ドイツ語では「エル」と発音されるが、現代ドイツ語では「エア」と発音される。
- 「or」は、舞台ドイツ語では「オル」と発音されるが、現代ドイツ語では「オー」と発音される。
- 「tu」は標準ドイツ語は「トゥ」、上部ドイツ語は「ツ」、低地ドイツ語は「テゥ」と表記される(オランダ語は「チュ」、フランス語の影響が濃厚)
- 「tü」は中部ドイツ語のうち東中部ドイツ語は「チュ」で西中部ドイツ語は「テュ」(フランス語の影響が濃厚)、上部ドイツ語は「トュ」、低地ドイツ語は前述の「チュ」と表記される
- 「tion」はラテン語およびイタリア語由来で、中部ドイツ語のうち東中部ドイツ語は「チォン」で西中部ドイツ語は「ティオン」、上部ドイツ語は「ツィオン」、低地ドイツ語は「チオン」と表記される(オランダ語は「シォン」と表記する)
- 「ti」(「zi」と同義音)も「tion」と同様で、中部ドイツ語のうち東中部ドイツ語は「チ」で西中部ドイツ語は「ティ」(フランス語の影響が濃厚)、上部ドイツ語は「ツィ」、低地ドイツ語は「チ」と表記される
- 「di」は中部ドイツ語のうち東中部ドイツ語は「ヂ」で西中部ドイツ語は「ディ」(フランス語の影響が濃厚)、上部ドイツ語は「デー」、低地ドイツ語は「ジ」と表記される
- 「du」は標準ドイツ語は「ドゥ」、上部ドイツ語は「ドー」、低地ドイツ語は「デゥ」と表記される(フランス語の影響が濃厚)
- 「dü」は中部ドイツ語のうち東中部ドイツ語は「ヂュ」で西中部ドイツ語は「デュ」(フランス語の影響が濃厚)、上部ドイツ語は「ドュ」、低地ドイツ語は「ジュ」と表記される
- 「si」は低地ドイツ語は「ジー」(オランダ語は「シー」)、中部ドイツ語および上部ドイツ語のうち上部フランケン語・アレマン語は「ズィ」、バイエルン語は「スィ」(イタリア語と同じ)と表記される
- 「cha」「chi」「chu」「che」「cho」はイタリア語の影響でアレマン語および上部フランケン語は「キャ」「キ」「キュ」「キェ」「キョ」で、バイエルン語では「キョ」(chå)「キ」「キュ」「キェ」「キョ」と表記される
- また、フランスに近いモーゼル・ライン川付近地域やルクセンブルクでは「シャ」「シ」「シュ」「シェ」「ショ」と表記され、低地ドイツ語はオランダ語同様に「ハ」「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」と表記される
- 標準ドイツ語は「ヒャ」「ヒ」「ヒュ」「ヒェ」「ヒョ」と表記され、地域ごとの差がある
- 「ca」「ci」「cu」「ce」「co」の場合はスラヴ語の影響もあり、上部ドイツ語および、中部ドイツ語では「カ」「ツィ」「ク」「ツェ」「コ」と表記される(バイエルン語では「コ」(cå)となる)
- 低地ドイツ語および、オランダ語ではイタリア語と類似して、「カ」「チ」「ク」「チェ」「コ」と表記される(フラマン語では「カ」「シ」「ク」「セ」「コ」と表記)
- 「Karl」「Carl」は上部フランケン語・アレマン語は「カール」、バイエルン語は「コール」(Kårl、Cårl)と表記され、中部ドイツ語および低地ドイツ語では「カウル」と表記される[23]
- 「sa」「si」「su」「se」「so」はバイエルン語&オーストリア語では「ソ」(så)「スィ」「ス」「セ」「ソ」と表記され、低地ドイツ語では「ザ」「ジ」「ズ」「ゼ」「ゾ」と表記される
- その他の標準ドイツ語・上部フランケン語・アレマン語では「ザ」「ズィ」「ズ」「ゼ」「ゾ」である
- 「ja」「ji」「ju」「je」「jo」は上部ドイツ語では「イャ」「イ」「イュ」「イェ」「イョ」と表記され(バイエルン語では「イョ」(jå)となる)、中部ドイツ語および低地ドイツ語では「ヤ」「イ」「ユ」「イェ」「ヨ」と表記される
- または「jä」「jü」「jö」は上部ドイツ語では「イェ」「イュィ」「イョェ」と表記され、中部ドイツ語では「イェ」「イュ」「イェ」と表記され、および低地ドイツ語では「エ」「ユ」「ウ」と表記される(オランダ語とほぼ類似)
- 「Ich」(イヒ)は、バイエルン語&オーストリア語では「I」(イー)、上部フランケン語・アレマン語では「Ischi」(上部フランケン語が「イシ」、アレマン語が「イシュィ」)と表記される
- 「Ich」は中部ドイツ語表記で、低地ドイツ語は「Ig」(イヒ)となり、オランダ語では「Ik」(イク)と表記される
- 単語の語尾の「~ig」(~イヒ)は上部ドイツ語では「~イク」と表記される
- 「st」は低地ドイツ語やオランダ語では「スト」、中部ドイツ語では「シュト」(語頭のみ)、上部ドイツ語(上部フランケン語・バイエルン語)では「シュトゥ」(語頭のみ。それ以外は「ストゥ」)、アレマン語は「scht」(シュツ)と表記される(語頭・語中・語尾すべて)。
- 「sp」は低地ドイツ語やオランダ語では「スプ」、中部ドイツ語・上部ドイツ語(上部フランケン語・バイエルン語)では「シュプ」(語頭のみ)、アレマン語は「schp」(シュプ)と表記される(語頭・語中・語尾すべて)。
- フランス語由来の「ou」(ウー)が普及している
- スイスでの「こんにちは」はフランス語由来の「Merci」(メルシー、ドイツ語訛りでは「メアツィ」)がレマン語系の「Grüezi」(グリュィエツィ・グリューエツィ)とともに使用される
- バイエルン語は「Grüß Gott」(グリュィス・ゴッツ・グリュース・ゴット)、オーストリア語は「Servus」(セアヴス・ゼアヴス)と表記される
- 上部ドイツ語系の上部フランケン語・中部ドイツ語系の中部フランケン語は「Guten Tag」(前者は「グーテン・ターク」、後者は「グーテン・ターヒ」)と表記される
- 低地ドイツ語は「Göten Tag」(グーテン・ターファ)と表記される(オランダ語は「Goedemiddag」(フーデミダファ)と、あるいは「Goedendag」 (フーデンダファ)表記される)
- 「Ober」(オーバー、意味は形容詞の「上の」で、英語では「Upper」(アッパー))はアレマン語では「Ower」(オーヴァー)と表記される
- 「Unter」(ウンター、意味は形容詞の「下の」で、英語では「Under」(アンダー))はアレマン語では「Under」(ウンダー)および「Nider」(ニーダー)と表記される(アレマン語以外の上部ドイツ語・中部ドイツ語・オランダ語・低地ドイツ語は低地を指す「Nieder」ニーダー(英語では「Low」(ロゥ)または「Down」)と表記される)
- 「Restaurant」(※日本語表記、英語表記は「レストラント」)はフランス語由来のRéstaurant(レトーラン)で、イタリア語はRistorante(リストランテ)、低地ドイツ語(オランダ語も含む)と中部ドイツ語ではスペルはそのまま「レストラーント」と表記される
- 一部の中部ドイツ語と上部ドイツ語ではRestaurationとなり、中部フランケン語は「レスタウラティオン」または「レスタオラチォン」、フランケン語は「レスターラツィオン」、アレマン語は「レシュツラツィオン」(Reschtauration)、バイエルン語は「レストゥロツィーオン」(Réståuråtion)と地域ごとに表記が異なる
- ß(エスツェット)は、スイスのドイツ語圏の一部のみ「ss」とも表記されることがある。
- 「Lü」と「Rü」は高地ドイツ語では「ルュ」、低地ドイツ語では「リュ」と発音される(オランダ語では「Lu」と「Ru」)。
- 「Gü」高地ドイツ語では「グュ」、低地ドイツ語では「ギュ」と発音される(オランダ語では「Gu」(フュ))。
- 「Mü」は高地ドイツ語では「ムュ」、低地ドイツ語では「ミュ」と発音される(オランダ語では「Mu」)。
- 「Nü」は高地ドイツ語では「ヌュ」、低地ドイツ語では「ニュ」と発音される(オランダ語では「Nu」)。
- 「Kü」は高地ドイツ語では「クュ」、低地ドイツ語では「キュ」と発音される(オランダ語では「Ku」)。
- 「Bü」は高地ドイツ語では「ブュ」、低地ドイツ語では「ビュ」と発音される(オランダ語では「Bu」)。
- 「Pü」は高地ドイツ語では「プュ」、低地ドイツ語では「ピュ」と発音される(オランダ語では「Pu」)。
- 「Hü」は高地ドイツ語では「フュ」(「Fü」と同様)、低地ドイツ語では「ヒュ」と発音される(オランダ語では「Hu」)。
- 「Sü」は高地ドイツ語では「ズュ」(バイエルン語では「スュ」)、低地ドイツ語では「ジュ」と発音される(オランダ語では「Su」(シュ))。
- 「Zü」は高地ドイツ語では「ツュ」、低地ドイツ語では「チュ」と発音される(オランダ語では「Zu」(ズュ/ジュ))。
ドイツ諸語の系統[]
アンゲル・フリースラント諸語[24](最低地ドイツ語=Niedrigdeutsch)[]
- フリースラント語 : ドイツ北西部、オランダ東北部の言語[25]
- 北フリースラント語
- 東フリースラント語
- 西フリースラント語
- アンゲル語[25] : 低地ドイツ語とデンマーク語に吸収され、民族言語としては消滅
- ユトラント語 : アンゲル語と同様に、民族言語としては消滅
低地ドイツ諸語(Niederdeutsch)[]
- メクレンブルク語
- ポンメルン語
- プロイセン語 : ドイツ語化したバルト語系の一言語
- ロストック語(ロストク語)
- シュヴェリン語
- ノルトブランデンブルク語
- トィファー語(Täufer) : メノナイト低地ドイツ語とも呼ばれる
- 低地ザクセン語
- シュレスヴィヒ語(フレンスブルク語)
- ホルシュタイン語(フーズム語)
- オスト・ファーレン語
- ハンブルク語 : 標準ドイツ語のベースとなった言語(舞台ドイツ語も参照のこと)
- リューベック語
- キール語
- リューネブルク語
- ハルツ語
- ブレーメン語(オストフリース語) : オストフリースラント語(東フリースラント語)とは別系統の言語
- オランダ・低地ザクセン語 : オランダ東部の言語
- フローニンゲン語(フローニンヘン語/フローニンフェン語) : オランダ北東部の言語
- シュレスヴィヒ語(フレンスブルク語)
- 低地フランケン語
- オランダ語 : オランダの言語
- アフリカーンス語 : 南アフリカ・ナミビアの言語
- フラマン語 : ベルギー北部の言語
- 西フラマン語 : ベルギー北西部の言語
- ゼーラント語 : オランダ北部の言語
- リンブルク語(リンブウフ語) : オランダ南部の言語でオランダ・ベルギーでは中部ドイツ語の一派として捉える傾向にある
- マース・ラインラント語
- オランダ語 : オランダの言語
高地ドイツ諸語(Hochdeutsch)[]
中部ドイツ諸語(Mitteldeutsch)[]
- 東中部ドイツ語
- トューリンゲン・上部ザクセン語(トューリンゲン・上部ザクセン語/チューリンゲン・上部ザクセン語) : 標準ドイツ語のベースとなる
- ベルリン語
- ラウジッツ語(ラオゥズィッツ語)
- 高地プロイセン語
- ブランデンブルク語
- アンハルト語
- ハルツ語
- マイセン語
- 低地シュレージエン語(低地スィロンスク語) : ポーランドの南西部スィロンスク地方とチェコ・ボヘミア地方東部の言語
- 西中部ドイツ語
- 中部フランケン諸語
- モーゼル・フランケン語 : フランス東中部の言語
- ルクセンブルク語 : ルクセンブルクの言語
- リプアーリ語
- ケルン語(コェルン語)
- ジーベンビュルガー・ザクセン語 : ルーマニア・トランシルヴァニア地方の言語
- モーゼル・フランケン語 : フランス東中部の言語
- ライン・フランケン語
- ヘッセン語(ヘッセン・フランケン語)
- ロートリンゲン・フランケン語 : フランス東中部の言語
- プファルツ語(ラインラント=プファルツ語)
- ヴィラモヴィアン語 : ポーランドの南西部スィロンスク地方南部ビェルスコ=ビャワ近郊の町ヴィラモヴィツェの言語
- 中部フランケン諸語
上部ドイツ諸語(Oberdeutsch/最高地ドイツ語=Höchstdeutsch)[]
- 上部フランケン諸語
- 東フランケン語 : トューリンゲン州南西部・ザクセン州南西部のケムニッツ地方周辺・バイエルン州北東部の言語
- フォクトラント語(フォクトゥラントゥ語/フォクツランツ語)
- エルツ語(エアツ語)
- 南フランケン語 : バーデン=ヴュルテンベルク州北部・バイエルン州北西部・ラインラント=プファルツ州南東部の言語
- ヴュルテンベルク語 : バーデン=ヴュルテンベルク州北部のヴュルテンベルク地方の言語
- 東フランケン語 : トューリンゲン州南西部・ザクセン州南西部のケムニッツ地方周辺・バイエルン州北東部の言語
- バイエルン諸語(Bairisch) : バイエルン州とスロヴァキア・モラヴィア地方南部などの言語
- 北バイエルン語(NordBairisch)
- レーゲンスブルク : レーゲンスブルク周辺の言語
- 中央バイエルン語(Mittelbairisch)
- インゴルシュタット語 : インゴルシュタット周辺の言語
- ムュンヒェン語 : ムュンヒェン周辺の言語
- パッサウ語(パッサオゥ語) : パッサウ(パッサオゥ)周辺の言語
- オーストリア語(Esterreich/Österreich) : オーストリア西部のウィーン州の言語
- ウィーン語 : ウィーン周辺の言語
- 南バイエルン語(Südbairisch)
- ツィロル語 : インスブルックとリエンツ周辺の言語
- モケーニ語(モキェーニ語) : イタリア北部のトレント自治県のモケーニ渓谷付近の言語
- チンブロ語(Zimbrisch) : トレント自治県に隣接するヴィチェンツァ県のセッテ・コムーニの言語
- ゴットシェー語(ゴェットシェーアーバ語) : スロヴェニア中部のカルニオラ地方と南部のコチェーヴィエ市の言語
- 北バイエルン語(NordBairisch)
- アレマン諸語(Alemannisch)
- 北アレマン語(Nordalemannisch)
- シュヴァーベン語(最低地アレマン語=Niedrigalemannisch) : バーデン=ヴュルテンベルク州東部・シュヴァーベン地方の言語・オーストリア西部のツィロル州の北西部のロイテ郡の言語
- シュトゥットガルト語[26](Schduagertisch=シュドゥアガートゥ語/シュヅアゲアツ語)
- バイエルン・シュヴァーベン語 : バイエルン州南西部の言語
- 低地アレマン語(Niederalemannisch) : ドイツ南西部とスイス北部の言語
- 上部ライン・アレマン語(Oberrheinalemannisch)
- シュヴァルツウァルト語(シュヴァーツヴァルトゥ語/シュヴァーツヴァルツ語)
- エルザス語(アルザス語) : フランス東端部の言語
- ボーデン湖アレマン語(Bodenseealemannisch) : ドイツ南中部とオーストリア最西部のフォアアールベルク州北部のボーデン湖付近の言語
- ヴェネズエラ・ドイツ語(ヴェネズエラ・アレマン語) : ヴェネズエラの言語
- 上部ライン・アレマン語(Oberrheinalemannisch)
- シュヴァーベン語(最低地アレマン語=Niedrigalemannisch) : バーデン=ヴュルテンベルク州東部・シュヴァーベン地方の言語・オーストリア西部のツィロル州の北西部のロイテ郡の言語
- 南アレマン語(Südalemannisch) : スイス中部・東部・南部のなどの言語
- 高地アレマン語(Hochalemannisch) : スイス各地域・フォアアールベルク州中部などの言語
- スイス・ドイツ語 : スイス南部を除いた言語
- 最高地アレマン語(Höchstalemannisch) : スイス南部・フォアアールベルク州南部・ツィロル州の最西部ランデック郡などの言語
- ヴァリザー語(ヴァリス語)
- リヒテンシュタイン語 : リヒテンシュタインの言語
- ゼンスラー語
- スヴェビア語 : イタリア北西部のロンバルディア州とヴァッレ・ダオスタ州とピエモンテ州北部などの言語
- 高地アレマン語(Hochalemannisch) : スイス各地域・フォアアールベルク州中部などの言語
- オーストリア・アレマン語(フォアアールベルク語) : フォアアールベルク州の北部で話されるボーデン湖アレマン語、中・南部で話される高地アレマン語、最高地アレマン語などの言語の総称
- ペンシルヴェニア・ドイツ語(ペンシルヴェニア・アレマン語) : アメリカ合衆国のペンシルヴェニア州・中西部、ドイツ系アメリカ人の言語
- バーデン語 : バーデン=ヴュルテンベルク州北西部・バーデン地方の言語の総称
- 北アレマン語(Nordalemannisch)
関連項目[]
脚注[]
- ↑ 上部ドイツ語は「ユトゥラントゥ半島/ユツランツ半島」、北欧語は「ユトラン半島/ユラン半島」と表記される。
- ↑ ゴート族と中心とした東ゲルマン語群と同じく北ゲルマン語群から分岐した。
- ↑ フォルク(Volk)の意味もある。
- ↑ 『ドイツ語語源漫筆』(渡辺格司/大学書林/1963年)
- ↑ 北匈奴の一派とされ、その末裔の一部と推測されるハンガリーのマジャール人、またはブルガリア人の先祖のブルガール人、ルーマニア人の先祖の一派のアヴァール人(モンゴル系の柔然(蠕々)の一派という)。
- ↑ アッティラとも表記される。
- ↑ 東フランク族の後身。
- ↑ 後にローマ帝国に侵入するために、ライン川上流・ドナウ川(精確には、ドナオ川と発音される)上流に移住した。
- ↑ マルチン・ルター、またはマルティン・ルターとも呼ばれる。
- ↑ 精確には、ヨーアン・ヴォルフガング・フォン・ゴェーテと発音される。
- ↑ このため、高地ドイツ語は西ゲルマン語群から分岐した「南ゲルマン語群」とも呼ばれることがある。
- ↑ 古英語とも呼ばれる。
- ↑ ケルト系のスコットランド語(東ゲール語)とは別系統の言語。
- ↑ ただし、バイエルン族のみ古代ケルト族とローマ人との混合体で、古代ゲルマン族の血は一部を除いて希薄だという説がある。
- ↑ イタリア人の先祖の一派。
- ↑ 『ドイツ語辞書』によると、西ゲルマン系で古代ドイツ人の先祖とされる。
- ↑ スイス・ドイツ語も含む。
- ↑ これはハンガリー語もほぼ同様である。
- ↑ 「ui」はフランス語起源で、ディーブール(Duisbourg)と綴られる。ドュースブルク(Duisburg)の地名は例外的である(ドイツ語では強いてDüssburgと綴られる)。
- ↑ 『スイスの歴史』(踊共二/河出書房新社/2011年)12頁より。
- ↑ 舞台ドイツ語は「ベルク」。
- ↑ 舞台ドイツ語は「ブルク」。
- ↑ (舞台ドイツ語では「カールル」と表記された。
- ↑ アンヘル(アンフェル)・フリースラント語)・フリースラント諸語とも呼ばれる場合がある。
- ↑ 25.0 25.1 ドイツ諸語に含まれる説がある(英語などアングロ・サクソン語(古英語)なども含まれる)。
- ↑ シュッツガルト語とも呼ばれる。