元大徳九路本十七史考(げんだいとくきゅうろじゅうしちしこう)とは、日本の歴史学者の神田喜一郎によって1918年に刊行された『三国志』関連の文献書である。出版は史学研究会である『史林』25巻3号に12頁分が収められている。
概要[]
『元大徳九路本十七史考』は、帝京大学の教授である尾崎康の引用による「元の大徳9年に江東建康道粛政廉訪司が自らその監督下に属する学者グループである九路の池州路儒学に命じて刊刻せしめた十七史の刊本である」『元本』(『元大徳九路本十七史』)[1]を参考したものである。『元本』(『元大徳九路本十七史』)は『三国志』の関連史書も含む、元の正真正銘の正史を参照として、作成されたものである。わずか12頁分の当書が参考にした『元大徳九路本十七史』は『三国志集解』を著した中国の盧弼とはライバル関係にある書籍でもある。
陳寿が著した簡潔な『三国志』の具体的な事項を検証した貴重な文献書でもある。参照文献の『元本』は当時、漢文に興味を示さず、儒者を軽蔑したモンゴル系の元の支配下で、本来なら官吏となる文人・知識人が民間に下野するケースも多くあり、元は他の王朝と比較すると文献書に対する規制が緩く、為政者を気にせずに記したものであり活気があり鮮明な正史となっている[2]。