浮島氏の家紋（変わり散り桜）
浮島氏（うきしまし）は、藤原北家山蔭流[1]の系統で、常陸国信太郡浮島郷[2]を拠点とした[3]。
概要[]
左京大夫の藤原仲正（山蔭の子）の庶長子の国豊は浮島氏の祖であるが、生母が京の遊女であったために、父に疎まれて、朝廷に仕えるも右近・兵衛尉という身分の低さであった。都では自分の居場所がないと感じた国豊は、坂東地方が、不安定であったために自ら下向を申請して、朝廷から常陸大掾に任じられて坂東地方に下向し、「浮島大夫」と称した[3]。
しかし、浮島氏とおなじ魚名流である下野国の下野大掾の藤原秀郷と下野国南部の所領をめぐって抗争を起こしたため、秀郷は藤原南家の嫡流である常陸国司の藤原維幾とともに国豊を襲撃した。これを聞いた国豊は子の清名とはかって維幾の一族である藤原玄明とともに逃亡して、平将門を頼った。追撃した秀郷と維幾は国豊父子と玄明の引き渡しを将門に迫ったが、将門はこれを拒否した。さらに京にいる惣領家筋である摂政関白の藤原忠平の仲介で、この問題は沙汰なしとなった。以降から国豊父子は将門に仕えた。
だが、『承平天慶の乱』で将門と玄明は将門の外従兄で秀郷の外甥でもある平貞盛・工藤為憲（維幾の子）の軍勢に討ち取られて、将門の嫡子の平将国は大叔父の平良文（将門の叔父）に護衛されて、国豊父子を頼った。国豊はまだ年若い将国を厳しく養育して、後に将国は信太郡の霞ヶ浦付近を拠点として篠田氏の祖となった。以降の国豊の動向は不詳であるが、同族の忠平のはからいで常陸大掾の地位を保ったといわれる。
国豊の子の清名の代になると、武家として地名の「浮島」を苗字とした。平安時代末期の義清の代になると上記の良文の後裔である千葉氏（房総平氏）一門の相馬氏に仕えて、その家老となった。
鎌倉時代前期の義清の曾孫の師清（龍玄入道）の代になると、子の盛清に先立たれ、さらに甥の胤清・経清兄弟（政清の子）にも嗣子がないために、相馬朝胤（行胤の子）の子の範清[4]を婿養子に迎え、その後を継がせた。しかし、範清は後に木幡氏と称して木幡範清と名乗り、相馬一門の奥州木幡氏の祖となったため、ついに浮島氏は断絶した[3]。
歴代当主[]
- 藤原国豊（浮島太夫） ： 安親・為保・景興・茂秀の庶長兄。
- 浮島清名
- 浮島清重
- 浮島常信
- 浮島国範
- 浮島高信
- 浮島行定
- 浮島兼顕
- 浮島国清
- 浮島義清 ： 常清の弟。
- 浮島国重 ： 安清の弟。
- 浮島国信
- 浮島師清（龍玄入道） ： 政清[5]・定清・兼清・家清（藤谷五郎）の兄。
- 浮島盛清