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“矍鑠なるかなこの翁は”と謳われた黄忠

黄忠(こうちゅう、? - 220年)は、『三国志』に登場する蜀漢)の部将で、字は漢升。子は黄叙(黄敍)、他に孫娘[1](後述)がいたという。

三国志演義』では、147年生まれの老将で、221年に夷陵の戦いで、の潘璋と戦って75歳で戦死する設定になっているが、別段に根拠はない。

諸葛亮の妻・黄婉媜の父・黄承彦[2]は、黄忠の族兄弟(はとこ)に当たるといわれ、黄忠は諸葛亮の縁戚に当たることになる。

概要[]

南陽郡の人[3]。若いときは荊州刺史の王叡[4]に仕えていたようである。しかし王叡が孫堅に攻め滅ぼされると、後任者で漢の宗族である劉表に仕えて中郎将となり、孫堅または袁術の襲撃に備えていた。

191年、孫堅が37歳で戦死し、長男の孫策が後を継ぐと、父以上の獰猛を持ち「小覇王」と謳われた孫策を警戒した劉表は自分の従子の劉磐[5]を長沙郡攸県の守将に任じて、黄忠を副将として孫策に備えさせた。

208年、劉表が逝去して、曹操が荊州を占領すると、劉磐は曹操の配下になることを拒んで、流浪の将軍となり呉の孫権の領内である長沙郡の艾・西安の諸県を蹂躙した。しかし、残った黄忠は曹操によって裨将軍に任命され、従来どおりの任務を続けさせて、 曹操の部将の韓玄[6]が長沙郡太守となったので、その配下となった。

209年、劉備が荊州南部の零陵・桂陽・武陵・長沙の四郡を攻略したときに、韓玄とともに劉備に帰順して、黄忠自身は劉備に対して臣下の礼をとって忠節を誓った。

211年、劉備が入蜀するときに、軍師将軍の龐統をはじめ劉備の子の劉封劉公仲兄弟と部将の魏延らとともに随行した。212年、劉備が益州牧の劉璋と仲違いすると、黄忠は葭萌関より自ら前方に立って、進撃して敵方の総大将の劉璝[7]、その部将の冷苞、鄧賢[8]の軍勢を陣営に襲撃して、これ打ち破る功績を挙げ、その勇敢さは桁はずれだった。214年夏5月、劉備が蜀を平定すると討虜将軍に昇格した。

217年、法正の進言で、劉備は漢中郡討伐を起こした。これに危惧した曹操は漢中郡の都督である夏侯淵[9]とその副将の張郃を援助させるために、曹洪[10]徐晃を先鋒として自らも二十万を率いて漢中郡に遠征した。

219年春正月、法正および黄権の巧妙な策謀の指示を受けた黄忠は、鐘や銅鑼と太鼓と法螺を盛んに鳴らして、定軍山に本陣を置いている夏侯淵を襲撃し、黄忠の部将が見事に夏侯淵を討ち取り、さらにその部将の趙顒[11]の首級も挙げられた。夏侯淵の五男の夏侯栄も14歳の若さで、父とともに戦死した。この報を聞いた曹操は嘆き悲しみ、倉曹属主簿の楊脩(楊修)[12]の進言もあって、漢中軍に撤退した。しばらくして、副将の張著とともに偵察隊を率いたが、張郃と徐晃の軍勢に挟撃されて、孤立奮戦したが趙雲と張翼の軍勢に救助された。黄忠はこの功績で、征西将軍に累進した。

同年に劉備が蜀王(漢中王)になると、黄忠は後将軍に昇格した。ただし、荊州を統括する古参の関羽は前将軍となったが、この人事に不満を持ち「わしはあの老い耄れと同格にはなりとうない!」と喚いたのである。これを聞いた諸葛亮は「案の定、関羽将軍は不満を持ち、納得しておりません。張飛将軍と趙雲将軍は、新参の馬超と協戦して、ともに軍功を見てますから、大丈夫です。問題は関羽将軍をどのように宥めるかですが…」と劉備に上奏して言った。しかし、劉備は「わしが硬骨の費詩を派遣して、関羽を説得させるから心配には及ばん」と言った。かくして黄忠は安堵して、関羽と同格になり関内侯に封じられた。

220年、病のために逝去し、諡号は「剛侯」である。子の黄叙(黄敍)は父に先立って逝去していた[13]

脚注[]

  1. 黄叙(黄敍)の娘という。
  2. 南陽郡の人で、襄陽郡在住。
  3. 現在の河南省南陽市
  4. 瑯琊王氏出身で、王崇の玄孫、王遵の曾孫、王音の孫、王仁の子、王誼の弟、王典・王融(王祥・王覧の父)の兄(『晋書』王祥伝)。
  5. または劉延と呼ばれる。
  6. 司隷河内郡の人。の護軍である韓浩(字は元嗣)の族兄で、韓栄(韓浩の養子)の実父。劉備に帰順した後に間もなく逝去したという(『元本』(『元大徳九路本十七史』、元の大徳10年に池州路儒学によって刊行された『三国志』関連文献書)より)。
  7. 劉珍とも呼ばれる。劉璋の同母弟にあたる(『元本』)。
  8. 孟達の妻の甥にあたる。
  9. 曹操の外族弟。
  10. 曹操の母方の従弟で、父方の族父に当たる。
  11. 趙昻とも呼ばれる。
  12. 太尉・楊彪の末子、袁術の外甥に当たる。
  13. 異説では、黄叙の娘(黄忠の孫娘)の婿(姓名不詳)が黄家の婿養子となり、その後を継いだという(『元本』)。

関連項目[]

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