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灘のけんか祭り

播州の秋祭り(ばんしゅうのあきまつり)とは、兵庫県南西部の播磨地方一帯の神社で行われる大小様々な秋季例大祭を総じて指し示すときの呼称。多くの神社で屋台(太鼓台)の練り出しが行われる。

概要

御旅所への神輿渡御を行う神幸祭形式の祭礼が多い。氏子地域から練り出される屋台は、神輿と形態が似通っているものもあるが神の輿としての役割はなく、渡御のお供・神前での奉納などを役割とし、風流として祭礼を盛り上げる。屋台が標準名としてよく用いられ、通称にはヤッサ、ヤッタイ、タイコなどがある。古くは御先太鼓、家台、矢台、太鼓台、やっさ太鼓と書かれており、18世紀頃には屋台の練り出しが行われていたようだが、明確な起源や由来は不明である。屋台と同じ形態を持つ山車は、太鼓台と総称され、播磨地域以外にも但馬地域(朝来市、等)や瀬戸内海沿岸などで見られる。

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廻し@播州の秋祭り

参加者の服装は各神社・各地区によって異なるが、多くの場合、各地区で揃えた法被襦袢を着用し、鉢巻を巻き、足袋を履いている。祭りによっては練り子などと呼ばれる屋台の担ぎ手が相撲と同様の廻しを締める。相撲と無関係の祭で廻しを着用するのは、この地方でも、姫路市高砂市、等の一部の祭りに限られ、この地方以外では極めて稀である。廻しにならない祭り・地区では股引ニッカボッカ等になったり、普通の着物(着流し)になる場合がある。祭りによっては廻しの地区と廻しでない地区が混在したり、廻しの地区でも廻しに統一しない場合がある(姫路市香寺町、福崎町、他)。祭りによっては小学生以下の少年が太鼓を叩き、薄化粧をして豪華な衣装を着たり、稚児一ツ物と同じように地面に足をつけないようにするところがある。これらをアマチュアカメラマンが撮影した写真はカメラ雑誌にしばしば登場する他、鉄道雑誌に電車と組み合わせて登場したこともある。ブログに登場する場合も多い。

屋台以外に壇尻を出す地域もあり、その中には獅子檀尻や芸能の舞台になるものがある。獅子舞を奉納する地域も多く、「播州は獅子どころ」と言われている。そのほとんどは伊勢の太神楽系統であると言われ、獅子を囃す相手役(綾子と呼ばれる、厚化粧して豪華な衣装を着た少年の場合が多い)が登場するなどする。中には継ぎ獅子や梯子獅子を行うところもある。毛獅子と呼ばれる胴幌が獣毛に覆われた獅子もあるが、これらの舞の形態も太神楽系統であると言われている。

特色ある神事民俗芸能としては、一ツ物、龍王舞(王の舞)などがある。天正年間の記録に一つ物・神子渡り・神事相撲・獅子舞・田楽猿楽)・龍王舞・流鏑馬・神輿が祭礼に登場していることが記されており、これらは中世の祭礼に起源を求めることができると考えられている。上記以外の神事や行事を行うところもある(表参照)。

屋台の形態

屋台は同じ地域でありながら様々なものがあり、屋根の形態から布団屋根型と神輿屋根型に大別される。布団屋台は東播方面・北播方面に多く、神輿屋台は中播方面・西播方面に多い。

平型布団屋台
布団屋台には赤色の平たい布団の屋根を持つ屋台(写真1)があり、この型の屋台は播磨地域以外の太鼓台(ふとん太鼓など)と類似点が多い。主に東播方面で見られる。
山型布団屋台
もう一方の布団屋台は布団の中央を山型にし、四隅を反り上げたもの(写真2)で、布団屋台と神輿屋台の折衷と言える。こちらは高砂市や北播方面で多く見られる。
神輿屋根屋台
神輿屋台は神輿と同様に宝形造りの屋根を持つもの(写真3)である。この型の屋台は播磨地域以外の太鼓台とは趣を異にしており、播州屋台の特徴の一つと言える。神輿屋台も、装飾や運行形態によって中播方面と西播方面とで2種類に分けられる。

上記4種の分類方法はほぼ一定であるが、その分類名については必ずしも一定でない。また、祭りによってはこれらの屋台が混在しているところもある。

地域によって異なった屋台練り(神輿ぶり)があり、秋祭りの見所となっている。一般的な差し上げの他に、土台部分のみでの台場練りや台場差し(写真4)、放り上げるチョーサー(写真5)、複数台での練り合せ・練り違いなどがある。掛け声は神輿を担ぐ際によく掛けられる「ワッショイ」ではなく、「ヨーイヤサー」が一般的である。この掛け声のルーツについては様々な説がある。「チョーサー」という掛け声を用いる地域も多い。

神社別祭礼

神社 祭礼日 所在地 備考
甘地八幡神社
奥大歳神社
9月第1または第2日曜
体育の日の前の日曜
神崎郡市川町 「獅子舞」 県指定重要無形民俗文化財
上鴨川住吉神社 10月4,5日 加東市上鴨川
571
神事舞」 国指定重要無形民俗文化財
若宮神社 10月第1日曜 三木市吉川町
稲田557
「ヤホー神事」 県指定重要無形民俗文化財
恵美酒宮天満神社 10月8,9日 姫路市飾磨区
恵美酒14
24人の練り子が土台で練る「台場練り」
「台場練り」市指定重要無形民俗文化財
浜の宮天満宮 10月8,9日 姫路市飾磨区
須加40
24人の練り子が土台で差し上げる「台場差し」
「台場差し」市指定重要無形民俗文化財
津田天満神社 体育の日の前の土日 姫路市飾磨区
構912
屋台の一気差し、拝殿内での屋台練り、獅子舞
犬飼神明神社 体育の日の前の土日 姫路市香寺町
犬飼66
「獅子舞」 県指定重要無形民俗文化財
石上神社 体育の日の前の土日 西脇市板波町
4-1
「なまずおさえ神事」 県指定重要無形民俗文化財
儀礼相撲
大宮八幡宮 体育の日の前の土日 三木市本町
2丁目19-1
三木の秋祭り 85段の石段を登っての宮入り
荒井神社 体育の日の前の土日 高砂市荒井町
千鳥2丁目23-12
仁輪加太鼓、舞子、伊達下がり少女
高砂神社 10月10,11日 高砂市高砂町
東宮町190
神幸祭 3年に1度の船渡御神事
厚化粧で伊達下がりの少女が先導
大避神社 10月第2日曜日 赤穂市坂越
1297
神輿の船渡御 通称「坂越の船祭り
国選択無形民俗文化財
曽根天満宮 10月13,14日 高砂市曽根町
2286-1
一ツ物神事と竹割り
湊神社 10月13,14日 姫路市的形町
的形1249
屋台練り
大塩天満宮 10月14,15日 姫路市大塩町
汐咲1丁目50
「毛獅子舞」 県指定重要無形民俗文化財
松原八幡神社 10月14,15日 姫路市白浜町
甲399
通称「灘のけんか祭り」 県指定重要無形民俗文化財  
伊和神社 10月15,16日 宍粟市一宮町
須行名407
例大祭 神幸祭 
米田天神社 10月中旬 高砂市米田町
米田
天狗面の人が先導
小松原三社大神社 10月中旬 高砂市荒井町
小松原2286-1
練子、乗子に加え、舞子(艶麗な衣装の踊り子)も登場
荒川神社 10月第3日曜日(本宮) 姫路市井ノ口
437
練り場から拝殿への階段登り
通称「小芋祭り」 市指定重要無形民俗文化財
廣畑天満宮 10月第3日曜日(本宮) 姫路市広畑区
北野町二丁目3
神輿・屋台の巡行
赤穂八幡宮 10月第3日曜日 赤穂市尾崎
203
神幸式 頭人行列
「獅子舞」 県指定重要無形民俗文化財
英賀神社 10月17,18日 姫路市飾磨区
英賀宮2丁目70
大小18台の屋台の宮入と拝殿練り 梯子獅子
梛八幡神社 10月20日 たつの市神岡町
沢田字梛山38
「継獅子」 県指定重要無形民俗文化財
魚吹八幡神社 10月21,22日 姫路市網干区
宮内193
提灯行列と桜門前での提灯練り
通称「提灯祭り」 県指定重要無形民俗文化財
乗り子は化粧した小学生
高峰神社 10月上旬 加西市
畑町
屋台5台、少女の浦安の舞
御厨神社 10月上旬 明石市二見町
東二見1323
8台の屋台、小学生が太鼓
稲爪神社 10月上旬 明石市大蔵本町
6-10
「大蔵谷獅子舞」 県指定重要無形民俗文化財
「囃口流し」「牛乗り」 市指定重要無形民俗文化財
生石神社 10月下旬 高砂市阿弥陀町
生石171
けんか神輿と、山型ふとん屋根屋台
貴船神社 10月下旬 多可町八千代区
中野間
山型布団屋台3台
熊野神社 10月上旬 福崎町
西田原1539
12台の屋台
大歳神社 10月上旬 福崎町
八千種1340
7台の屋台
二之宮神社 10月上旬 福崎町
山崎1011
13台の屋台
竹田秋祭り 10月上旬 朝来市和田山町
竹田
大小21台の「やっさ」
但馬だが播磨に酷似
姫宮神社 10月上旬 朝来市生野町
生野
山型布団屋台と神輿屋根屋台
但馬だが播磨に酷似

関連項目

  • 播州の秋まつりシリーズサンテレビジョン) - 上記の祭礼の内、有名なものを放送。
  • 灘のけんか祭り
  • 射楯兵主神社 - 5種の神事
  • 北条住吉神社 - 布団屋台 龍王舞

外部リンク

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