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この項目の本来の表記は「h抜き」です。MediaWikiの技術的制限から先頭の小文字が大文字になっています。

h抜き(エイチぬき、エッチぬき)とは、ウェブ上の電子掲示板などにおいて、ウェブサイトURLを書き込む際にアドレスの先頭の"h"を抜いて書き込む行為の通称である。

http://」で始まるアドレスから "h" が抜かれるために「h抜き」と呼ばれている。

概要[]

主にPerlRubyなどでプログラミングされたCGIで運用される電子掲示板は、ウェブサイトのURLを記述して書き込むと、URL先のウェブサイトへ自動的にリンクされる「自動リンク機能」が実装されている場合が多い。

自動リンク機能は利便性の向上で大きな役割を担っているが、書き込む内容によってはユーザーが自動リンクされるのを避けたい時がある。そのような場合において行われるのがh抜きである。

h抜きが発祥され広まったのは2ちゃんねるとされ、それが後に掲示板利用のマナーとして一人歩きし、広まって、他の掲示板でも見られるようになった。

2ちゃんねるでh抜きが推奨された目的は、リンク先のサイトでアクセス解析を行っている場合、張られたリンクから直接飛んでしまうとリンク元(リファー、Referer)が2ちゃんねるである、つまり2ちゃんねる上に「晒している」ことが相手側にばれてしまうため、それを隠す目的である。

その一方で、一部にスレッドの容量の抑制を目的として導入されたという説がある。 2ちゃんねるも、「http://~」を書き込むと自動でリンクが張られる仕様となっているが、この際に自動で付加されるHTMLタグ分のデータ量が、特に大量にURLが書き込まれるようなスレッドの場合無視できないサイズとなるという理由である。

ただし、文字列要素が追加されること自体の影響は微々たるものであるにもかかわらず、定量的な計測結果が現在まで提示されていないことからこの説の根拠は薄い。2ちゃんねる登場以前のサイトにおいてもリンク元を隠す用途に使用されていたという説もある。

他人のウェブサイト勝手にリンクする行為そのものが違法となることは無いが、日本ではネチケット慣習的なマナーとして、ウェブサイトへリンクする際はそのウェブサイトの管理者の承諾を得た方が良いという主張が一部に存在する。また、承諾なしにで自分のウェブサイトにリンクされることを嫌う管理者も存在する。この場合、リンクされることそのものを嫌っているため、単なるアドレス記載かハイパーリンクされているかどうかは重要ではない。

一部の掲示板利用者は、自動リンク機能で起こり得るそのような問題を、URLの先頭の"h"を抜くことによって回避してきたというわけである。

主に2ちゃんねるなどの匿名掲示板においてアングラなURLの伏せ表現や誹謗中傷、URL晒しなどで使用されてきた経緯からも、また、元来はオープンであるべしというWWWの精神からも好ましい行為とは言えないとする意見がある。

h抜きの例[]

h抜きをしない場合
http://ja.wikipedia.org/
h抜きをした場合
ttp://ja.wikipedia.org/

h抜きに似た行為としてURLのhを大文字にする行為やメールアドレスを記載する時にアドレスの@(アットマーク)部分を全角にするという行為がある。後者はボットなどにメールアドレスが収集されにくくなるので迷惑メール対策に有効である。

なお、メールアドレスの変形表記とh抜きが根本的に異なるのは、対象が自分のアドレスかどうかという点である。自分自身のメールアドレスならば記載する手段や形式や掲載箇所は自由であるが、他人のアドレスを変形記載する行為については議論の余地がある。

スパムフィルターに引っかかるURLもh抜きだとフィルターに引っかからないため、フィルター逃れのために用いられることもある。

h抜きの亜種[]

ttp://とする以外にも、以下のような手段が使われている。

  • http自体を省略
  • ht_tpとする
  • h ttpとする
  • (h)ttpとする
  • h++pとする
  • h**pとする
  • htpとする
  • httする
  • tpとする
  • アドレスの一部を全角にする
  • アドレスの一部を日本語に翻訳する
  • アドレスの中間や最後尾を省く(例えば、~.co.jp を ~.co.jとするなど)

なぜ「h」か[]

電子掲示板の仕様により異なるが、プログラムが文字列にURLが含まれていると判断する材料に「http://」がよく利用される。つまり、hを抜いた「ttp://」ならばプログラムに認識されず通常の文字列として処理される。厳密には「http://」という文字列でURLが含まれているか否かを判断しているため、hから/までのどの文字を抜いてもh抜きとなる。多数の場合においてhが抜かれる理由はhが先頭の文字であるため、後からhを付加しやすいからであると思われる。ただし、前述の通りh抜きの手法には幾通りもの手法があり、最終的には好みや掲示板の雰囲気などでユーザーが適当な手法を用いてh抜きを行っている。

h抜きの問題点[]

Referer(リファー)の無効化
h抜きによりハイパーリンク化を阻止することで、閲覧者のユーザーエージェントからのReferer出力を抑止する。
アクセス解析の無効化
アクセス解析は閲覧者の情報とリンク元の情報を収集・解析するための機能である。クッキーやRefererを用いて行われるが、h抜きが広範に使われるようになると、アクセス解析のもつリンク元解析機能が無意味になる。
一方で、閲覧者が利用するブラウザなどのエージェントによるReferer(リファー)の送信は閲覧者のプライバシーに相当するとの考えから、アクセス解析の正当性に疑問を呈する意見もある。しかし、一般にプライバシーは自らの裁量により出力を決定するものである。一部のブラウザやファイアウォールは、設定によりRefererの出力を抑制できる。閲覧者があらかじめ納得した上でサイト閲覧中にRefererを出力している(あるいは出力を抑止している)状況になっている以上、無断収集とはいえなくなっている。
また、プライバシーは自らの裁量により出力を決定する、という考えをより柔軟かつ簡便に適用可能にする仕様がW3C勧告により提示されている。この仕様に準拠することにより、アクセス先サイトの提供するPolicy Reference Files を参照することで、閲覧者のプライバシー情報出力に関する設定を自動化することができる。(参考: http://www.w3.org/TR/P3P/
閲覧者の利便性低下
元来リンクは閲覧者の利便性のために導入されたものである。
ハイパーリンク化を阻止することで、閲覧者の利便性を低下させる。
セキュリティ上の問題
Internet Explorerなどのユーザーエージェントでは、ttp://をそのままアドレスバーにコピペコピー&ペースト)した場合、以下の動作中に致命的なエラーを起こすことがある。
  • ttp://で始まる文字列を自動的にttp://をftp://に置き換えてしまう。
例:ftp://ja.wikipedia.org/ (参考:http://www.falcom.com/qanda/bbsYs/wwwbbs.cgi?1061231152250
  • アドレスバーに検索プラグインがインストールされている場合は自動的に検索してしまう可能性がある
なお、Firefoxでは開く方法が分かりませんとのダイヤログが出る程度である。
無意味性
閲覧者の利便性低下という意味は薄れてきている。理由としては以下が挙げられる。
  • ttp://で始まる文字列を自動リンクする機能を持つ掲示板が存在する
  • 2ちゃんねるでも携帯電話からの閲覧ページではハイパーリンクになっている場合がある
  • ttp://で始まる文字列に先頭のhを補完してURLとするブラウザのプラグインが存在する
  • 大規模な掲示板には、ttp://で始まる文字列をハイパーリンク化する機能を持つ専用ブラウザがある
ただし、殆どの変換プラグインや専用ブラウザはRefererを出力しない。また、多数の亜種が存在することや、他の検索避け手法と併用されることも多いことから、アクセス解析の無効化という意味は依然として残り続けている。

関連項目[]

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